がん治療継続のためのアピアランスケア

PDF 

分子標的薬による皮膚障害

分子標的薬を使用する場合には、薬剤の種類によって特徴的な皮膚障害が出現します。日常的なスキンケアを行うとともに、皮膚障害の種類に応じた治療が必要となります。

【ざ瘡様皮疹】

ざ瘡様皮疹は、にきびのような肌荒れが起こる皮膚症状で、治療開始後1〜4週間程度で現れ、2〜3週間をピークに減っていくことが多いといわれます。この症状が出る場合には、分子標的薬が効く可能性が高いといわれており、分子標的薬による治療と、ざ瘡様皮疹の治療を並行して行います。

【手足症候群】

手足症候群は、手のひら、足の裏のピリピリ感や、赤い腫れ、痛みなどの症状をいいます。症状は、薬の種類によってさまざまです。また、症状と治療効果との間に関係はなく、症状が強い場合には分子標的薬の量を減らすこともあります。

ケアのポイント

場合によっては、分子標的薬の減量や中止が必要となることもあるため、皮膚症状も医師や看護師、薬剤師にきちんと伝えましょう。
治療開始の時点から、皮膚症状をコントロールするためのステロイド外用剤や保湿剤、内服薬が処方されることもあります。また、皮膚に刺激を与えないような生活上の注意点が指示されることもあります。医療者の指示に従って使用しましょう。

【分子標的薬による皮膚障害のケア】

医師から処方される外用薬の使用はもちろん、ていねいなスキンケアを心がけましょう。
熱いお湯での洗顔・入浴や、皮膚を強くこするなどの刺激を避ける、十分な保湿、紫外線対策などです。

【皮膚障害があるときのケアの工夫】

・ 刺激の少ない化粧水で保湿

分子標的薬の治療で、顔にブツブツができました。医師に伝えると、ステロイドの塗り薬を処方されました。スキンケアは、無香料でアルコールが入っていない低刺激のものに変え、保湿をしっかりするように心がけています(40代女性)

ここが知りたいQ&A

Q ざ瘡様皮疹が気になります。

A ファンデーションで目立たなくできることもありますが、最初に少し塗ってかゆみや赤みが出ないことを確認しましょう。かゆみや赤みが出た場合にはすぐに落とします。

Q 手足症候群を予防することはできますか?

A 完全に予防することは難しいですが、きつい靴下や靴は避け、長時間の立ち仕事や歩行にも注意しましょう。

ドクターからのアドバイス

分子標的薬による皮膚症状は、薬剤効果の目安になることもあり、症状をコントロールしながら、がん治療をすすめていくことになります。皮膚障害の状況は、医療者にしっかりと伝えてください。

東京大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科助教
がん相談支援センター副センター長
分田 貴子 先生

1994年東京大学教育学部卒業後、医師を目指し2002年に同医学部医学科を卒業。同大学附属病院での研修を経て、2008年より国立がん研究センター中央病院で免疫治療の研究に従事。がん治療に伴う患者さんの外見変化の問題に直面し、対処法としてカバーメイクの研究、普及に尽力。2013年に東京大学医学部附属病院カバーメイク・外見ケア外来を開設。

×
第一三共エスファ株式会社の管理外にある
ウェブサイトに移動します。

TOP