ステロイド(Steroid)
ステロイドとは、炎症をしずめたり、免疫の働きを弱めたりする薬です。
この薬は、腎臓の上のほうにある副腎皮質(ふくじんひしつ)というところでつくられたホルモンのうち、糖質コルチコイドという成分を合成してつくられます。
ステロイドには、飲み薬、注射剤、塗り薬、吸入剤などがあります。
ステロイドについて、患者さんには、効果と安全性について詳細に伝える必要があります。「適切に使わないとからだに影響がでますので、必ず指示通りに使ってください」と、注意喚起をする一方で、「適切に使い、反応に注意すれば、心配はいりません」と、過度の不安を与えないような一言も添えましょう。
ステロイドという言葉の認知率は93.8%と、非常に高くよく知られていることがわかります。一方で意味を理解している人は、44.1%と低いのが実情です。
ステロイドとはどのような薬なのか、その効果と安全性を、使い方とともに明確に説明する必要があります。
よく効くけれど副作用に注意しなければならない薬ということを伝えるために、「もろ刃の剣」や「スーパーマンにもなるし、モンスターにもなる」などと比喩を用いることもあります。
このような誤解がある
スポーツ選手のドーピング問題で取り上げられる「蛋白同化(たんぱくどうか)ステロイド」からの連想で、病院で使うステロイドも危険な薬だと誤解している人がいます(13.1%)。
ほかにも、塗り薬の場合、一度使うとやめられなくなると誤解している人もいます(13.8%)。
また、ぜんそくの治療で使う吸入ステロイド薬のように副作用が極めて弱いものでも、ステロイド薬の注射剤や飲み薬と同程度の副作用があると誤解していることがあります(18.3%)。
強い副作用があり、危険な薬だと思い込み、過度に不安を抱く人が多くいます。この誤解によって、患者さんの自己判断で、使う量を少なくする、途中で使うのをやめるなどを行うと、十分な治療効果が得られないばかりか、副作用の危険が大きくなってしまうことがあります。適切な使い方を丁寧に説明し、過度な不安は取り除く必要があります。
ステロイドの説明で「長期間、使ってはいけない」と伝える場合、なぜ長期間使うといけないのかまで、説明する必要があります。
また、「長期間」という言葉は、人によって受け止め方が異なりますので、具体的な数字で示すことができればよいでしょう。
使い方や副作用について正しい理解ができれば、患者さんの過度な不安も解消できると考えられます。
この記事は2019年1月現在の情報となります。