せん妄(せんもう)
せん妄とは、話す言葉やふるまいに一時的に混乱がみられる状態をいいます。
せん妄は、病気や入院による環境の変化などで脳がうまく働かなくなり、次のような状態になることがあります。
- 人の区別がつかなくなることがある
- ないものが見えたり、ない音が聞こえたりすることがある
- ぼんやりしているかと思うと、急に感情を高ぶらせることがある
「せん妄」という言葉の認知率は24.7%と低いため、医療関係者間で使う言葉にとどめておくとよいでしょう。患者さんやその家族に対しては「せん妄」という言葉を使わず、「一時的な強い寝ぼけのようなもの」と説明している医師もいるようです。
ただし、病気の説明をしていくなかで、「せん妄」という言葉を使う必要が生じた場合は、漢字で「譫妄」と書いて、次のように解説するとよいでしょう。
「『譫』は『たわ言やうわ言のように、とりとめもなくしゃべる言葉』のことです。『妄』は『われを忘れたふるまいをする様子』のことです。この二つの漢字で成り立つ『譫妄』という言葉は『われを忘れて意味不明のことを言い出すこと』を意味します」
このような誤解がある
せん妄の症状そのものを病気と考えている人がいますが、「せん妄」は病気の名前ではなく、状態を表す言葉です。
認知症が原因でせん妄の症状が現れている場合に、「せん妄」という言葉を使ってしまうと、誤解が起きやすいので、混乱を避けるためにも、この言葉は使わないほうがよいでしょう。せん妄の症状が現れるのは、認知症に限らず、熱や薬などが原因のこともあります。
せん妄の症状は長く続くと誤解している人がいますが、せん妄は一時的な症状です。
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この記事は2019年2月現在の情報となります。