MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus Aureus)

MRSAは、発症した場合、通常細菌を退治するために使われる薬が効かなくなる細菌の一種です。

MRSAは、「Methicillin-resistant Staphylococcus Aureus」の略語で、日本語では「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」といいます。
黄色ブドウ球菌を退治するために使われていたメチシリンという抗生剤が効かなくなった黄色ブドウ球菌のことを指します。

※黄色ブドウ球菌:人の皮膚や消化管にいる細菌で、肺炎や腸炎などの感染症や食中毒を引き起こします。

この菌は、人の鼻の中などどこにでもいて、消毒剤への抵抗性が強いので、身の回りから消し去ることがとても困難です。健康な人には害のない程度の細菌ですが、病気などで抵抗力の弱った人のからだに入ると、通常細菌を退治する薬が効かないため、病気が重くなることがあります。

MRSAという言葉の認知率が33.3%と低いのは、なじみのないアルファベット略語であり、覚えにくい語形であることが考えられます。しかし、日本語の「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」も極めてわかりにくいといえます。
略語や日本語の名称を覚えてもらうよりは、次のことを理解してもらうように説明しましょう。

  • MRSAは、どこにでもいる菌であり、健康な人が保菌しているだけでは心配する必要はない。
    ただし、抵抗力の弱い人は感染しないように注意しなくてはいけない。
  • 入院する際には、患者さんがMRSAを保菌していないかどうかを検査し、保菌していれば適切な処置を行っていることを、必要に応じて伝える。
  • MRSAが問題になるのは、抵抗力の弱い患者さんに感染して、発症する場合である。
    大手術の後、重症のやけど、血管や尿道にカテーテルを長時間入れている、無菌室が必要なほど抵抗力が落ちているなどの患者さんである。
  • MRSAの感染予防の心がけとして、次の2点を伝える。
    1. 1.病気の人の介護や看護をする人は、こまめに手を洗うこと
    2. 2.見舞いの人は、生花など、消毒ができず多量の菌を持ち込むおそれがあるものは、もっていかないようにする

このような誤解がある

MRSAという言葉を「院内感染」の報道によって、非常に怖い菌だと、漠然と感じている人が少なくありません。

MRSAは、どんな薬も効かない菌だと誤解し、過剰に恐怖心を抱いている人も多いようですが、治療する薬はあります。通常なら使える薬が効かなくなることが問題なのです。

また、健康な人でも感染するとすぐに発症するという誤解がありますが、MRSAは原則、健康な人には害がないこと、仮に感染したとしても容易に治ることを伝えるようにしましょう。

伝え方が悪いと、患者さんやその家族は正しい知識がないことで過度に不安になり、かえって混乱する恐れがあります。

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この記事は2019年2月現在の情報となります。

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