閉じた質問
「閉じた質問」は、相手が「はい・いいえ」で答えられる質問や、数値などを端的に聞き出すための質問です。短時間で必要な情報を得たいときに用います。
たとえば、「今朝お薬は飲みましたか」「今日の血圧はいくつでしたか」というのが、「閉じた質問」です。
あまり話したがらない患者さんでも、このスキルを使うと必要な情報が得られます。
スキルアップポイント
- 「はい・いいえ」で答えられる聞き方や、数値や名称を答えるだけでよい聞き方をします。そのためには、何を聞きたいのか薬剤師があらかじめ考え、仮説を立てたり、焦点を絞り込むことが必要です。
- 患者さんの気持ちや状況に寄り添うことから始め、「閉じた質問」を繰り返しながら、本音や問題の核心に近づいていくようにします。たとえば、服薬時間をなかなか守れない患者さんに「決められた時間にきちんと飲んでください」と指導するのではなく、「共感的繰り返し」で患者さんの気持ちを受け止めた上で「飲み忘れてしまうのは、朝夕のどちらが多いですか?」といった質問で糸口をつくります。
- 「閉じた質問」で得られた情報をもとに、より具体的な情報を得るために次の「開いた質問(はい・いいえで答えられない質問)」を投げかけるという会話を繰り返すことで、問題解決につながる情報を引き出すようコミュニケーションを円滑に進めていきます。
- 「閉じた質問」ばかりを繰り返すと誘導的なコミュニケーションになりやすく、また冷たい印象を与えてしまうことがあるので気をつけましょう。これを避けるには、「開いた質問」とうまく組み合わせると効果的です。
薬剤師 「飲み忘れてしまうのは、朝夕のどちらが多いですか?」(←閉じた質問)
患者さん「朝ですかね・・・」
薬剤師 「朝飲んでいるのはむくみを取るお薬ですね。どのような点がご心配なのですか?」(←開いた質問)
患者さん「飲むと何度もトイレに行きたくなって困るのよね」
井手口先生からのワンポイントアドバイス
普段話してくれない患者さんに「最近どうですか?」などと開いた質問をしても「変わらないよ」など、あっさりかわされてしまいます。
そういう方には「このお薬で眠くなったりしませんか?」のように明確に情報を取り確認できる閉じた質問を適切に用いましょう。
帝京平成大学 薬学部 薬学科
教授 井手口 直子 先生
帝京平成大学薬学部 教授
博士(薬学) 博士(教育)
帝京大学薬学部薬学科卒業
株式会社新医療総合研究所代表取締役
日本大学薬学部専任講師、帝京平成大学准教授を経て2013年より現職
この記事は2021年4月現在の情報となります。