開いた質問

「開いた質問」は、「はい・いいえ」では答えられない質問のことです。「何か確認したいことはありますか?」といった「開いた質問」は、「あなたからのどんな返答も受け入れますよ」という意思を示す質問です。このような意思を示すことで、患者さんは自分の身に起こったことや思っていることなどを自由に表現することができます。
効果的に使うことによってさまざまな情報を引き出せる「開いた質問」ですが、一方で、相手との心理的な距離が遠い場合はあまり語ってもらえないこともあるので、注意が必要です。

スキルアップポイント

  • どんな返答も受け入れるという意思を患者さんに伝えるには、「何かお困りのことはありますか?」「ほかに何か確認したいことはありますか?」などの「開いた質問」を投げかける際に、笑顔やアイコンタクトなど非言語コミュニケーションをプラスすると効果的です。
  • 「開いた質問」と「閉じた質問」をうまく使い分けると、詳細な情報を患者さんから引き出すことができます。「開いた質問」の答えの中に気になる情報があったら、「閉じた質問」を織り交ぜて問題を絞り込んでいきましょう。そうすることで、患者さんが自覚していない副作用や、服薬アドヒアランスなどの問題を発見できることがあります。
  • 「開いた質問」は、ともすると“広過ぎる質問”になることがあります。そうなると、「いえ、別に」「とくに変わりないです」といった返答しか得られず、質問が空振りに終わりやすくなります。その場合は質問の焦点を絞り、「前回、痛み止めの薬が出ましたが、その後痛みはいかがですか?」などと聞きましょう。明確な答えが得られないときは、「痛みは取れましたか?」と「閉じた質問」でつなぎ、患者さんとのコミュニケーションを図りながら、情報を引き出していきましょう。

薬剤師 「今回も鼻炎の薬が出ていますね。鼻炎の具合はいかがですか?」(←開いた質問)
患者さん「うん、だいぶいいね」
薬剤師 「鼻炎のほかに何かお困りのことはありますか?」(←開いた質問)
患者さん「尿の出が悪くなってね・・」
薬剤師 「そうなのですね。尿の出が悪くなったのは最近ですか?」(←閉じた質問)
患者さん「最近だね」

井手口先生からのワンポイントアドバイス

普段からとくに薬剤師と話すことをせずに「薬を早く出してくれ」という態度の患者さんは、薬歴をみても情報量が少ないことが多く、服薬指導をする際に確認のポイントが絞れません。そのような場合、やってしまいがちなのが「最近ご体調はいかがですか?」のような“広過ぎる質問”です。患者さん側になってみると「普段から話さないのにそんなことを聞かれても一から話したくない」という気持ちになるでしょう。
「変わらないよ」という簡単な返事になってしまいます。
このような患者さんには開いた質問ではなく、ワンポイントを確認するような閉じた質問「お薬を飲んで眠気がでることはありますか?」などを聞いて、一つずつ情報を集めていきましょう。

帝京平成大学 薬学部 薬学科
教授 井手口 直子 先生

帝京平成大学薬学部 教授
博士(薬学) 博士(教育)

帝京大学薬学部薬学科卒業
株式会社新医療総合研究所代表取締役
日本大学薬学部専任講師、帝京平成大学准教授を経て2013年より現職

この記事は2021年4月現在の情報となります。

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