共感的要約

共感的要約」は、患者さんが迷いや不安、葛藤などの感情を込めた話をしたあとに、その話の要点をまとめて簡潔に繰り返すことです。患者さんの気持ちにきちんと共感したことを示すコミュニケーションスキルであり、薬剤師に対する信頼を深める効果が期待できます。
迷いや不安、葛藤があっても、うまく表現できない患者さんは少なくありませんが、「共感的要約」をすることで、その後のコミュニケーションを進めやすくなります。

スキルアップポイント

  • 重要なのは、①患者さんの話をよく聞き、気持ちを受容する②聞き手として強く共感したポイントを、メリハリをつけて確認する③患者さんの感情のポイントを整理するという3点です。
  • まず患者さんの話に耳を傾け、どんなこともしっかり受容し、共感しましょう。その上で、副作用など「薬に関する問題」と、お薬を服用する患者さんの認知や心理状況など「患者さんに関する問題」という2つの側面を意識して、訴えを整理していきます。
    患者さんは、自分のもやもやした気持ちを、薬剤師という第三者に整理、要約されることで、「自分が言いたかったこと」を再認識できます。さらにこのコミュニケーションを通じて、薬剤師への信頼感を高めることができます。
  • 患者さんが「話す」迷いや不安、葛藤などに共感する姿勢を示すことで、患者さんの気持ちを和らげるという視点が大切です。「薬に関する問題」を解決することも大切ですが、「患者さんに関する問題」にも目を向け、基礎的なカウンセリングのスキルを正しく用いることによって、薬剤師も心のケアの一端を担うことができます。

患者さん「先生から大切なお薬だと言われたけど、家に帰ると1人で、最近忘れっぽいし…大丈夫かしら」
薬剤師 「1人暮らしでお薬をちゃんと飲めるか心配なのですね」(←共感的要約)

井手口先生からのワンポイントアドバイス

重要なのは、その患者さんが何を言いたいのか、しっかりと「気持ちも含めて」とらえることです。

帝京平成大学 薬学部 薬学科
教授 井手口 直子 先生

帝京平成大学薬学部 教授
博士(薬学) 博士(教育)

帝京大学薬学部薬学科卒業
株式会社新医療総合研究所代表取締役
日本大学薬学部専任講師、帝京平成大学准教授を経て2013年より現職

この記事は2021年4月現在の情報となります。

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