副作用対応レシピ

化学療法をはじめとするがん治療を受けている患者さんにご紹介いただける副作用対応レシピ・食事のヒントをご紹介します。
参考として、「消化器がんの外科手術で生じる後遺症」「がん治療に伴う副作用とその出現時期」についてもご紹介します。

外科手術(消化器)の場合の
後遺症について

消化器の外科手術後では、消化器機能の一部を切除することによって、当分の間は後遺症症状のコントロール・予防が大切になります。ここでは、一般的によく起こる後遺症とその解説を紹介します。

症状 解説
体重
減少
消化器の外科手術後は、1回分の食事摂取量が減少、また腸閉塞予防から当面の間は無理な摂取は控えているため、急激な体重減少を起こしやすくなります。
体力低下 体重減少で骨格筋肉量が減少し、体力低下を起こしやすくなります。
軟便
・下痢
大腸からの水分・電解質の吸収の減少により、軟便や下痢になりやすくなります。
便秘 大腸での食物を動かす運動の障害や、生活の変化・精神的ストレスなどで便秘になりやすくなります。
頻便
(直腸手術の場合)
直腸の手術の場合は、便の貯留する機能が弱くなり、頻便になりやすくなります。
腹部
膨満感
大腸での食物残渣を動かす運動障害などで、通過不良が起こりやすくなり、膨満感を感じやすくなります。
腸閉塞 手術後、癒着により腸内容物の通過障害が起こり、腹痛や嘔吐を起こしてしまう場合があります。
ダンピング
症候群
(初期)手術以前は、食事が胃の中で混ぜ合わされ、少しずつ腸に運ばれていましたが、胃切除により急に腸の中に流れ込むようになり、それにより不快な症状が起こります。

(後期)食事から2~3時間後に発汗、動悸、全身倦怠感などの低血糖症状が起こる場合があります。これは、胃切除によって腸からの急激な吸収が起こり(高血糖)、それに反応して血糖を下げるように働くのですが、逆に血糖を下げすぎてしまうことによって起こります。
貧血 胃を切除した場合、鉄分・ビタミンB12の吸収が悪くなることにより起こりやすくなります。
骨粗鬆症 胃を切除した場合、カルシウムの吸収が悪くなることにより起こりやすくなります。
逆流性
食道炎
胃を切除することにより、逆流を防止する弁の働きがなくなってしまうことにより起こしやすくなります。特に胃全摘術や噴門側胃切除後に起こしやすくなります。

がん治療の副作用とその出現時期

どのような副作用が出現するかは、使用される抗がん剤の種類と量、放射線を当てる部位や照射量により大きく異なります。
ここに示した表は、どのような副作用がどの時期に出現しやすいかを知っていただくためのものです。
知ることによって、自分の体調変化を理解し、対応を事前にまた素早く行うことができ、苦しみを少しでも緩和することができるメリットがあります。

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出現時期とは、矢印の期間に症状が出現する可能性があることを表します。矢印の期間、症状がつづくという意味ではありません。

がん情報サイト Assist
がん治療中の食事のサポートについて

淑徳大学 看護栄養学部
栄養学科長 教授
桑原節子先生

がんの栄養療法は、栄養代謝の基礎研究と共に、薬物療法・外科療法・放射線療法、それぞれの治療時の副作用対策や栄養補給対応に大きな役割があり、その成果が発揮されたとき、それぞれの治療が完遂でき、効果が高まることが示されています。また、厳しい治療のときも食を通して癒しの役割を重ねていただき、患者さん、家族、医療者のコミュニケーションとしても寄与できると信じております。

このサイトはそんな治療支援の立場からつくられたものです。がん患者さんの治療効果を支援する栄養療法・食事サポートについては、患者さんや家族の方の疑問や不安も多く、全人的医療が着目されるようになるにつれ、書籍や関連サイトが増えております。これも患者さんや家族の方が声をあげていただいたこと、それに応えようと、関連の財団、学会、研究会のご協力があってのことと思います。今後も皆様のお役に立てるよう、活動を進めてまいります。1人でも多くの方に、このサイトをご利用いただき、より良い治療への手助けとしていただければ幸いです。

出典:がん治療中の食事サポートブック2018(公益財団法人 がん研究振興財団)

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