吐き気・嘔吐
吐き気・嘔吐の症状のある患者さん向けにレシピ・食事のヒントをご紹介します。
副作用対応レシピ
豆腐と水菜のさっぱりサラダ
1人分 エネルギー:51kg
たんぱく質:4.4g / 脂質:2.1g / 塩分:0.8g
材料(1人分)
- ・もめん豆腐 1/8丁(50g)
- ・水菜 1/6束(30g)
- ・にんじん・きゅうり(せん切り) 各少量
- ・ポン酢(市販品) 大さじ1/2
作り方
- 豆腐はさいの目に切る。水菜はざく切りにする。
- 水菜、にんじん、きゅうりを合わせて混ぜ、豆腐を加え、ポン酢をまわしかけてあえる。
POINT
・さわやかな酸味のドレッシングやポン酢をかけると食欲が促されます。
・ポン酢は、おかゆに直接垂らしたり、焼き魚にかけたりして使える利用範囲の広い調味料です。
ところてん
1人分 エネルギー:21kcal
たんぱく質:1.0g / 脂質:0.0g / 塩分:1.3g
材料(1人分)
・ところてん 1パック
◆ 合わせ調味料
- ・酢 大さじ1
- ・しょうゆ 大さじ1/2
- ・砂糖 大さじ1/4
・青のり 少量
作り方
- ところてんを器に盛り、合わせ調味料をかけ、青のりをふる。
POINT
ところてんは冷蔵庫にストックしておくと便利です。体調に合わせて酢の量を加減し、青のり、刻みのり、からし、ゆず、ごまなどを加えてもよいでしょう。
きゅうりともずく酢のあえ物
1人分 エネルギー:26kcal
たんぱく質:0.8g / 脂質:0.1g / 塩分:1.4g
材料(1人分)
- ・きゅうり(せん切り) 1/4本
- ・塩 少量
- ・もずく酢(市販品) 1パック(80g)
- ・しょうがのすりおろし 少量
作り方
- きゅうりは塩もみにして水けを絞り、もずく酢であえる。
- 器に盛り、しょうがのすりおろしをのせる。
POINT
しょうがの風味でさっぱりといただけます。のど越しもよく、食欲のない時にもおすすめです。
オレンジレモネード
1人分 エネルギー:118kcal
たんぱく質:1.1g / 脂質:0.1g / 塩分:0g
材料(1人分)
- ・オレンジジュース 1/2カップ
- ・炭酸水 1/4カップ
- ・レモン果汁・はちみつ 各大さじ1
- ・レモンの輪切り 1枚
- ・ミントの葉 適量
作り方
- ジュース、炭酸水、レモン果汁、はちみつを混ぜ合わせる。
- グラスに氷を入れて1を注ぎ、レモンの輪切りとミントの葉を飾る。
POINT
冷たくてのど越しがよく、さわやかな味わいで気分が落ちつきます。症状として腹部膨満感もある場合は炭酸は控えたほうがよいようです。甘さは、はちみつの量で調節します。
冷凍みかん
1個(100g) 1人分 エネルギー:34kcal
POINT
解凍状態はお好みで。吐き気が落ちついた時に少しずつ食べてみるのもよいでしょう。フルーツをシャーベット状にすると、冷たくて甘味や酸味を強く感じないため食べやすくなります。ライチやメロンを冷凍してもよいでしょう。市販のシャーベットを常備しておくのも便利です。
吐き気・嘔吐のヒント
PDFQ1.抗がん剤治療をはじめてから、吐き気や嘔吐により食事がとれなくなり、とても心配です。このような時には、どのようなものが食べやすいでしょうか?
A1.吐き気・嘔吐のヒント
吐き気・嘔吐は抗がん剤治療により最も起こりやすく、苦痛な副作用の一つと言われています。
吐き気・嘔吐を繰り返すことで食欲が減退してしまうケースもあります。
このような症状に食事内容を完璧に対応させることは難しいのですが、対策のポイントは次のとおりです。
1.少しずつ回数を増やして食べる
無理せずに気分よく食べられる量を、よく噛んでゆっくり食べてみましょう。
2.冷たく、口当たりもよく、飲み込みやすいものを食べる
アイスクリーム・シャーベット・ゼリー・果物・冷たいめん類・卵豆腐・冷ややっこなどを試してみましょう。
3.油っこい食事は控える
油っこい食事(揚げ物や脂肪の多い肉料理など)は胃内停滞時間が長くなるので、食べるとむかむか感や胃もたれ感が増してしまうかもしれません。
4.いろんな食品を使わず、シンプルな料理を食べてみる
具材が多すぎるとそれぞれのにおいが混ざり合うことにより、不快に感じるかもしれません。食材は1~2種類とし、塩味だけなどのシンプルな味付けにしてみましょう。また、砂糖やみりんなどを減らして甘さを控えるのもよいでしょう。
5.同じものを続けて食べない
食べられる食材であっても続けて食べることにより、吐き気の要因となる場合もあるようです。
6.嘔吐を繰り返す時には脱水に気を付ける
嘔吐した際は水分と一緒に電解質(ナトリウムやカリウムなど)も失われます。脱水にならないためには水やお茶などのほか、スポーツ飲料・スープ・みそ汁などをとりましょう。
Q2.抗がん剤治療を開始したら、食べ物の「におい」がとても気になり出しました。
このような時はどうしたらよいのでしょうか?
A2.吐き気・嘔吐のヒント
食べ物にはそれぞれ特徴的なにおいがあり、それらを完全になくすことは大変難しいのですが、食事の「におい対策」としては次のポイントがあげられます。
1.においの強い食べ物を控える
ニンニク・ニラ・ネギなどの香味野菜や魚料理など、特徴的なにおいの強い食品は吐き気を引き起こす要因になる場合があります。
2.においを抑える工夫をする
あたたかい食べ物は比較的においを強く感じることが多いようです。逆に冷たい食べ物はにおいが弱く感じるようです。ごはんは冷めてからのほうが食べやすく、肉は湯通ししたものを冷やすとにおいが気にならなくなります。
3.食材のくさみを取る
魚や肉を使った料理はくさみを消すために、しょうがや梅、ゆずなどを使ってみましょう。また、焼き魚や煮魚よりも刺身のほうがにおいは気にならない場合もあります。
4.食事を準備する環境に配慮する
調理の際にはキッチンの換気も大切ですが、調理時間の短縮も一つの方法です。レトルトやインスタント食品、冷凍食品やお総菜などを上手に使うことで調理時間を短縮させることができます。
5.味付けをシンプルにする
しょうゆやみそではなく、塩味だけのシンプルな味付けがにおいも少なく食べやすい場合もあります。
- 症状出現の考え方、症状が出やすい治療法
- 抗がん剤治療における吐き気・嘔吐はさまざまな因子の影響を受けますが、抗がん剤の種類によりその出現は大きく異なります。
- 症状が出現しやすい時期・期間
- 抗がん剤の副作用による吐き気・嘔吐は、薬剤投与0~24時間以内に起こる「急性悪心※1・嘔吐」、24時間後から起こる「遅延性悪心・嘔吐」のほか、急性または遅延性嘔吐への不十分な対応が要因で引き起こる条件反射の一つである「予測性悪心・嘔吐」があります。
※1 悪心とは吐こうとしても吐けない状態を言います。
出典:がん治療中の食事サポートブック2018
(公益財団法人 がん研究振興財団)
この記事は2018年11月現在の情報となります。