誤嚥(ごえん)
誤嚥とは、食物などが食道ではなく気管に入ってしまうことをいいます。
食べたり飲んだりしようとしたときに、飲食物が誤って食道ではなく気管に入ってしまうのは、飲食物を飲み込む力が弱かったり、飲み込む神経の働きが悪かったりすると起こりやすくなります。
飲食物が気管に入ると、激しくむせるのは、それを押し出そうとするからです。飲食物だけではなく、唾液が気管に入る場合もあります。誤嚥して口から肺に細菌が入ることで、病気を引き起こすきっかけにもなります。
「誤嚥」の認知率は50.7%と低く、一般には知られていない言葉です。一方で、この言葉を患者さんに使っている医療関係者は多いことがわかっています。
できるだけ日常語で言い換えるほうがよいでしょう。
たとえば、「誤嚥の危険が大きい」は、「食べたものが気管に入ってしまう危険が大きい」などのように言い換えるとわかりやすいです。
「嚥(えん)」という漢字は、義務教育では学ばない難解なものです。「誤嚥」「嚥下(えんげ)」と医療分野では使われますが、一般には使わない漢字です。だからといって「誤えん」と表記してもわかりにくいため、「誤嚥」「嚥下」という言葉自体、患者さんには使うのを控えるほうがよいでしょう。
ただし、「誤嚥性肺炎」などの病名を説明する場合は、「誤嚥」という言葉を説明しなくてはなりません。「嚥」という漢字には飲み込むという意味があると伝え、つまり「誤嚥」とは、誤って違うところに飲み込んでしまうことであることをわかりやすく説明するとよいでしょう。
このような誤解がある
「誤飲」という言葉と誤解している人がいます(13.9%)。
「誤飲」は飲食物ではない異物を飲み込んでしまうことです。「誤嚥」と「誤飲」は発音も似ていて混同されやすいので注意しましょう。
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この記事は2019年2月現在の情報となります。