がん治療継続のための
栄養アシスト
貧血
貧血について
体中に酸素を運ぶ血液中の赤血球数やヘモグロビンの濃度が低下した状態のことを言い、WHO(世界保健機関)では、ヘモグロビン濃度が成人男性で13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満を貧血と定めています。
貧血には体内の鉄の不足からヘモグロビンの産生が低下することで起こる「鉄欠乏性貧血」や、造血機能に影響を与えるビタミンB12や葉酸などの栄養が欠乏することで起きる「巨赤芽球性貧血」などがあります。
鉄欠乏性貧血は、化学療法の副作用などで食欲が落ち食事量が減ることによる鉄の摂取不足、胃切除後の後遺症からの鉄の吸収不良、外科手術後の出血などが要因となります。
巨赤芽球性貧血は、胃の全摘手術により、胃からのビタミンB12の吸収が悪くなり発症する場合や葉酸の摂取不足、また薬剤性の要因で起こります。
主な症状は、めまい、たちくらみ、息切れ、頭痛、耳鳴り、手足の冷え、疲れやすさ、集中力の低下、食欲の低下、気分の落ち込みなどです。鉄欠乏性貧血では、舌炎、口角炎、スプーン状爪なども起こります。
貧血の予防や再発防止には、毎日の食事も重要なポイントになってきます。欠乏している栄養素の補給だけでなく、栄養バランスのよい食事をとることを心がけましょう。
こんな栄養素を取り入れてみましょう
鉄欠乏性貧血
鉄とビタミンCを一緒に摂取することで吸収が良くなります。
鉄 |
豚レバー、鶏レバー、牛ヒレ肉、かつお、小松菜、ほうれん草、菜の花、納豆、豆乳、ひじき
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ビタミンC |
ブロッコリー、パプリカ、かぼちゃ、レモン、オレンジ、柿、キウイフルーツ、いちご
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巨赤芽球性貧血
ビタミンB12 |
豚レバー、鶏レバー、牡蠣、あさり、しじみ、さんま
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葉酸 |
豚レバー、鶏レバー、菜の花、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、枝豆
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桑原節子先生からのアドバイス
貧血の改善には、その原因を明らかにすることで、補う栄養素や対策が見えてきます。胃の全摘後や消化器病変のため鉄やビタミンB12の吸収障害が顕著な場合は、静注が必要なこともあります。まずは、日常の食事で十分なたんぱく質、鉄、ビタミンB12 、ビタミンC、葉酸を多く含む食品を意識して食べてみましょう。
教授 桑原節子先生
管理栄養士
女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業
2003年4月 国立がんセンター中央病院 栄養管理室長
2013年4月 淑徳大学 看護栄養学部 栄養学科 教授
2018年4月より現職
この記事は2018年11月現在の情報となります。