がん治療継続のための
アピアランスケア
皮膚の変化や傷跡へのケア
化学療法や放射線治療により、色素沈着(皮膚が黒っぽくなること)、くすみ、シミ、黒褐色のそばかすのような色素斑(しきそはん)がたくさん現れるなど、皮膚の変化が現れることがあります。手術の傷跡が残ったり、ケロイド状になったりすることもあります。
見た目の変化に対する感じ方は、患者さんによって異なります。まわりにはそれほどでもない変化に見えても、患者さん自身は非常に気になり、行動が消極的になってしまうこともあります。
胸部や腹部など、普段は衣服に隠れている部位の傷であっても、旅行に行きづらいなどの原因ともなり、やりたいことをあきらめてしまう人がいます。
ケアのポイント
カバーメイクを利用してみましょう。
カバー効果の極めて高いファンデーションが、「カバーメイク用ファンデーション」として市販されています。ボディ用は、手術の傷跡などのカバーに便利です。耐水性の高いタイプは、ファンデーションを塗布したまま、入浴やプール浴も可能です。
軽度な色素沈着やシミであれば、一般的なファンデーションでカバーできます。これまで使用していたカラーより1~2段階、明度の低いものを試してみましょう。症状が重度の場合は、カバーメイク専用の化粧品もあります。
肌の色や傷のカバーメイクの工夫
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落ちにくいメイクでしっかりカバー
夏場はとくに汗でメイクが落ちやすくなるので、落ちにくく皮膚への刺激が少ない日焼け止めを使用しています。ファンデーションの前にコントロールカラーを使うことで、肌全体が明るくなり、黒ずみをカバーしてくれます。(30代女性)
ここが知りたいQ&A
- Q 汗や水に強いファンデーションを使っても、大丈夫でしょうか?
- A 使用したい部位に、感染や炎症などがなければ大丈夫です。ただし、カバー用ファンデーションに限らず、すべての化粧品でアレルギーを起こす可能性がゼロではありません。
- Q カバー用ファンデーションを使用する際に注意することはありますか?
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ドクターからのアドバイス
治療中でも、特別な化粧品を使う必要はありません。
カバーメイク用の化粧品を使うことで、シミや傷跡などを手軽にカバーできる場合もあります。説明書やメーカーのウェブサイトを参考に利用してください。
がん相談支援センター 医師
分田 貴子 先生
1994年東京大学教育学部卒業後、医師を目指し2002年に同医学部医学科を卒業。同大学附属病院での研修を経て、2008年より国立がん研究センター中央病院で免疫治療の研究に従事。がん治療に伴う患者さんの外見変化の問題に直面し、対処法としてカバーメイクの研究、普及に尽力。2013年に東京大学医学部附属病院カバーメイク・外見ケア外来を開設。
この記事は2021年9月現在の情報となります。