副作用対応レシピ
嚥下障害
ほうれん草のムースのかき卵あんかけ
印刷1人分 エネルギー:162kcal
たんぱく質:10.9g / 脂質:8.7g / 塩分:0.8g
ほうれん草をゆでてミキサーにかけ、牛乳と塩を加えてゼラチンでかためたムースです。食材が均一でなめらかなので、むせにくく、飲み込みやすい料理です。ムースはにんじんやかぼちゃ、えんどう豆でも作れます。卵あんをかけるとさらに食べやすくなります。
材料(1人分)
◆ ほうれん草ムース
- ほうれん草(ゆでて刻む) 1~1・1/2株
- 牛乳 3/4カップ
- 塩 少量
- 粉ゼラチン(水大さじ1でふやかしておく) 1/2袋(2g)
◆ かき卵あん
- 卵 1/2個分
- だし 1/4カップ
- うす口しょうゆ・みりん 各小さじ1/4
- 水ときかたくり粉 小さじ1/4+水小さじ1/2
作り方
- ほうれん草と牛乳を合わせてミキサーで攪拌し、なべに入れて温め、塩で調味する。電子レンジ(600W)で約10秒加熱してとかしたゼラチンを加え混ぜ、型に流して、冷やしかためる。
- かき卵あんを作る。小なべにだしとしょうゆ、みりんを入れて煮立て、とき卵を流し入れてかき混ぜ、水ときかたくり粉でとろみをつける(とろみは普通程度)。
- 1を器に盛り、2をかける。
材料(1人分)
- 長芋(すりおろす) 50g
- ひき割り納豆 1/2パック
- だし 3/4カップ
- みそ 大さじ1/2
作り方
- なべにだしを入れて煮立て、長芋と納豆を入れてひと混ぜし、みそをとき入れ、火を消す(場合によっては、さらにミキサーで攪拌する)。
材料(1人分)
- ごはん 100g
- 水 1/2カップ
- 顆粒ブイヨン 小さじ1/2
- 牛乳 1/2カップ
- 粉チーズ 大さじ1
- 塩 少量
作り方
- なべにごはんと水、ブイヨンを入れてやわらかく煮る。
- 牛乳と粉チーズを加えてさらに煮て、塩で味をととのえる。
パンプキンスープ
印刷市販品(なめらかなタイプのもの)
1人分 参考数値 エネルギー:101kcal
とろみのあるスープは諸症状に適応が広い料理です。むせるようであれば、スープのとろみを少し強くしてください。むせにくい(誤嚥しない)とろみのかたさは、かなり個人差がありますが、意識してゴックンと飲み込める状態にするのがよいでしょう。みそ汁やコンソメスープにも応用できます。
温泉卵
印刷1個(65g)1人分 エネルギー:89kcal
- 卵の自然なとろみでまとまりがあり、のど越しもよいので、食べやすいでしょう。
- つゆの量は多すぎないように、卵とちょうどからむ程度がよいでしょう。
嚥下障害のヒント
印刷Q1 | 舌がんの手術後で、舌は奥の一部しか残っていません。食事がなかなか食べられないのですが、どのように工夫するとよいでしょうか? |
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A1 | 嚥下障害のヒント
舌切除の場合、食物の移動制御機能がうまくいかなくなり、咀嚼(そしゃく)困難が出てきます。咀嚼(そしゃく)とは、口の中に取り入れた食べ物を歯や歯根ですりつぶし、唾液と混ぜて飲み込みやすくする一連の動きをいいます。食べ物を飲み込むには、この咀嚼(そしゃく)によって、食塊(食べ物と唾液が混ぜ合わさった団子状のもの)ができていなくては飲み込めません。舌切除の場合、その機能の一部を失います。そのため、調理工夫が必要となります。また、摂食・嚥下障害の場合、1日の摂取量が不足し、体重減少、体力低下、低栄養状態を起こしやすいので注意しましょう。一般的には、不足分は栄養剤で補うとよいでしょう。 |
Q2 | 胸部放射線治療をしています。飲み込む時が痛くてつらいのですが、どうすればよいでしょうか? |
A2 | 嚥下障害のヒント
胸部放射線治療時は、食道の炎症を起こすことが多いです。食事内容は炎症部に刺激を与えないように、硬いものは避け、やわらかいおかずにしましょう。味付けは塩分の多いものは痛みを助長させてしまう場合もあるので、薄味で調理しましょう。 |
症状出現の考え方、症状が出やすい治療法
嚥下障害があると、水分や食事が飲み込みにくくなったり、頻繁にむせたりする症状が出現します。食べ物が間違って気管や肺に入ってしまい肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすこともあります。
一般的な原因は、加齢や体力低下によって起こりますが、抗がん剤や放射線治療の場合は、治療の副作用による唾液分泌量低下や歯肉炎、開口障害が原因となる場合もあります。また、舌がんや咽頭がんで食べる・飲み込む機能を切除した場合もあります。
頭部や頸部の放射線治療をする場合には、放射線治療の副作用として口内炎、口内乾燥、食道炎、歯の脆弱化、味覚・嗅覚障害、開口障害、咀嚼筋の障害が現れる場合があります。それにより、食べることに苦痛を感じ、食欲がさらに低下、体重減少、体力低下を引き起こしていきます。
症状が出現しやすい時期・期間
食道の炎症は、放射線治療の開始から治療回数が増えてくるとともに起きやすくなります。通常は放射線治療完了から2~4週間で治まってきます。
出典:がん治療中の食事サポートブック2018(公益財団法人 がん研究振興財団)
この記事は2018年11月現在の情報となります。