がん治療継続のための
アピアランスケア
がん治療中の爪の変化へのケア
化学療法による爪の変化
化学療法により、手足の爪にも変化が現れることがあります。爪がもろくなって割れやすくなるほか、変形や色素沈着などが起こることもあります。
特に手の爪の見た目の変化は、気持ちが落ち込む原因になりがちです。
ケアのポイント
ネイルケア
爪が根元から先端まで伸びるのに、手では半年、足は1年程度かかります。
がん治療に伴う爪のダメージを完全に防ぐことはできませんが、ネイルケアにより、爪を少しでもよい状態に保ちましょう。爪用オイルやクリームなどを、こまめに塗って保湿します。この際、爪の根元部分を軽くマッサージするとよいでしょう。
爪切りを使う場合は深爪に注意し、最後にヤスリで整えます。
見た目の変化へのケア
爪の色変化は、ネイルカラーでカバーできます。刺激が気になる場合は、シンナーを含まないネイルカラーも市販されています。ネイルシールを貼る方法もあります。貼った上からトップコートを塗ると長持ちします。
爪の変化に対するケアの工夫
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こまめなネイルケア
爪を保護するために家のなかでもメッシュ素材の手袋を使っています。そのまま水仕事や入浴もでき、すぐに乾くので助かっています。(50代女性) -
ネイルカラーで変色をカバー
接客の仕事をしているので、爪の変色が気になりました。ネイルカラーを塗ることで変色も気にならず、自信を持って仕事ができています。(30代女性)
ここが知りたいQ&A
- Q 化学療法開始後、二枚爪になりやすくなり、爪が割れて洋服にひっかかって困っています。
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A
爪は3層構造になっており、この構造が壊れると二枚爪になってしまうことがあります。爪の先端に対し、縦にやすりがけすることで爪先がなめらかになって爪が割れにくくなります。
ドクターからのアドバイス
ネイルカラーを使用しなくても、一般的なネイルケアを行うだけで、かなりきれいな状態の爪に見えることもあります。
ジェルネイルは、爪を薄く削る必要がある、刺激の強い薬品を使用する場合がある、免疫力が低下している場合には感染を起こすリスクがある、急な入院になった場合に除去できないなどの理由から推奨されていません。
分子標的薬による爪の変化:爪囲炎
分子標的薬を使用する場合、爪囲炎がおこることがあります。爪囲炎は痛みが強く、細かい作業ができなくなる、歩行しにくくなるなど、QOL(生活の質)の低下につながります。爪囲炎がみられたときは、主治医のもと適切な治療を受けることが大切です。
爪や周囲を圧迫しないよう、ものを持つときには指先でつかまず、横から指の腹や手のひらで持つようにして爪にかかる負担を減らしましょう。靴はきつくないものを選びます。
東京大学医学部附属病院
がん相談支援センター 医師
分田 貴子 先生
1994年東京大学教育学部卒業後、医師を目指し2002年に同医学部医学科を卒業。同大学附属病院での研修を経て、2008年より国立がん研究センター中央病院で免疫治療の研究に従事。がん治療に伴う患者さんの外見変化の問題に直面し、対処法としてカバーメイクの研究、普及に尽力。2013年に東京大学医学部附属病院カバーメイク・外見ケア外来を開設。
がん相談支援センター 医師
分田 貴子 先生
1994年東京大学教育学部卒業後、医師を目指し2002年に同医学部医学科を卒業。同大学附属病院での研修を経て、2008年より国立がん研究センター中央病院で免疫治療の研究に従事。がん治療に伴う患者さんの外見変化の問題に直面し、対処法としてカバーメイクの研究、普及に尽力。2013年に東京大学医学部附属病院カバーメイク・外見ケア外来を開設。
この記事は2021年9月現在の情報となります。