がん治療継続のための
アピアランスケア

がん治療に伴う外見の変化

がん治療が始まると、脱毛や色素沈着、手術跡など、さまざまな外見の変化が生じることがあります。

見た目の変化には個人差があります

がん治療に伴う変化は治療内容によって異なり、すべての患者さんに必ず起こるわけではありません。変化には個人差もあります。また、見た目の変化に対して、「人前に出るのが嫌だ」「自分が自分でないような気がする」という人もいれば、「それほど気にしない」という人もいるなど、受け止め方も一人ひとり異なります。

外見の変化にお悩みの患者さんへ

がん治療に伴う見た目の変化に戸惑いながらも、「治療を受けているのだから、見た目を気にしてはいけない」「見た目の変化は仕方ない」「治療の間だけだから我慢すればいい」と、見た目の変化について考えること自体をよくないと感じている人がいるかもしれません。

また、見た目の変化をつらく感じていても、「治療以外のことは先生に話してはいけない」「こんなことを言ったら治療が続けられないのではないか」「忙しい先生に申し訳ない」と、言い出せない人もいます。

しかし、がん治療中であっても、“自分らしくいたい”という気持ちは当たり前のもので、がん治療にしっかり取り組むためにも、見た目の変化のケアが重要となります。もちろん、そのようなケアを必要と感じない人もいます。どちらも“その人らしさ”として尊重されることが大切です。

見た目の変化のケア=アピアランスケア

アピアランスとは、英語で「外見」を意味する言葉です。「アピアランスケア」とは「がん治療によって起こる見た目の変化へのケア」のことです。

現状では、がん治療に伴う見た目の変化を予防する方法はほとんどありません。しかし、さまざまな工夫を行うことで、変化による苦痛を軽減し、治療中や治療直後もその人らしくいられるよう、サポートできることがあります。

現在、アピアランスケアに積極的に取り組む医療機関は多くはありませんが、少しずつ増えています。見た目の変化に悩んでいる人は、医師や看護師に相談してみるのもよいでしょう。

東京大学医学部附属病院・がん相談支援センターでは、アピアランスに関する相談にも対応しています。東京大学医学部附属病院を受診していない人も相談できます。治療中や治療後も自分らしくいられることが、がん治療に向き合う力になるように、医療従事者、ウィッグなどのメーカーや理美容ボランティアがさまざまな知識を共有し、見た目の変化に悩む患者さんへのサポートを行っています。

がん治療中は、心身が思いどおりにならない日もあります。無理せず、できる範囲でアピアランスケアに取り組んでいきましょう。

東京大学医学部附属病院・がん相談支援センター
https://todai-gansodan.jp/

東大病院カバーメイク相談・研究グループのフェイスブック
https://www.facebook.com/todai.covermake/

分田 貴子先生
東京大学医学部附属病院
がん相談支援センター 医師
分田 貴子 先生


1994年東京大学教育学部卒業後、医師を目指し2002年に同医学部医学科を卒業。同大学附属病院での研修を経て、2008年より国立がん研究センター中央病院で免疫治療の研究に従事。がん治療に伴う患者さんの外見変化の問題に直面し、対処法としてカバーメイクの研究、普及に尽力。2013年に東京大学医学部附属病院カバーメイク・外見ケア外来を開設。

この記事は2021年9月現在の情報となります。

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