がん治療継続のための
栄養アシスト
下痢
下痢について
大腸での水分の再吸収が十分ではなく、便中の水分が過剰になった状態です。一般的に、排便の回数が1日3回以上増加すると言われていますが、回数に加えて、便の性状(軟便、水様便など)、また腹痛、発熱などの症状に注意が必要です。
下痢が続くと脱水や栄養障害が起きたり、肛門の周りに痛みや炎症が起こったりすることがあります。命に関わる危険な状態になることもあるので、速やかに対処することが重要です。
化学療法中には副作用として下痢が起こる場合があります。抗がん剤投与後数時間以内に起こる早発性の下痢と、抗がん剤投与から数日~10日後の間に起こる遅発性の下痢の大きく二つに分けられます。
食事は腸粘膜への刺激を抑えます。
胃腸の働きを整えるために十分な栄養をとり、散歩や軽い体操など体を動かす習慣をつけることで手術後の体力の回復や下痢の予防につながります。腸管壁の炎症のため、刺激に対して過敏になっている場合は、痙攣(けいれん)性の腹痛を起こすことがあるので、安静が必要なこともあります。
また、下痢によって大量の水分を失っているので、こまめな水分補給を心がけましょう。
控える食品としては、海藻やきのこなどの食物繊維の多い食品、ビールや炭酸などの発泡性食品、脂肪の多い料理などに気をつけましょう。
こんな栄養素を取り入れてみましょう
下痢が続くと水分とともにナトリウムやカリウムなどの電解質も奪われるため、飲み物などで積極的にとることを心がけましょう。ただし、冷たいものは避け、常温に近いものにしましょう。
電解質 (カリウム、ミネラル) |
ほうじ茶、麦茶、イオン飲料(アイソトニック飲料)、みそ汁、果汁
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桑原節子先生からのアドバイス
下痢の原因が明らかであれば、対処法が見えてきます。治療の副作用であれば、一定期間の服薬や脱水予防、安静の組み合わせとなりますが、ご自身の食事内容と下痢症状の関連を知り、予防することも可能です。食事のボリュームも少なめに分けて食べることや、食品衛生に気をつけることも忘れないでください。
教授 桑原節子先生
管理栄養士
女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業
2003年4月 国立がんセンター中央病院 栄養管理室長
2013年4月 淑徳大学 看護栄養学部 栄養学科 教授
2018年4月より現職
この記事は2018年11月現在の情報となります。